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大住緑栄のよもやま話~第10回~

皆さんこんにちは!

株式会社大住緑栄、更新担当の中西です。

 

さて今回

~育成年数~

ということで、今回は、日本の伝統産業であり、同時に未来の環境を支える「林業」の現場に目を向け、一本の樹木が育つまでにどれほどの時間と工程がかかるのかを深掘りしていきます♪

 

「木」は自然に生えるもの。でも、林業としての木=利用するための木材を育てるという視点では、実は膨大な手間と長い年月が必要なのです。


◆ 林業における「樹木の一生」とは?

林業における樹木の育成とは、単に「植えて放置する」ものではなく、計画的に育て、管理し、伐採して活用し、また植えるという循環型の営みです。

特に日本の林業では、スギ(杉)やヒノキ(檜)などの針葉樹人工林が中心で、その成長サイクルはおよそ50年〜80年にも及びます。


◆ 樹木が育つまでの主な工程と年数

林業における育成は、以下のような段階を経て進みます。


【1】苗木の育成(0〜2年)

森林組合や苗木農家で、種から苗を育てる段階。強風や乾燥、病害虫に耐えられる丈夫な苗にするため、手厚く管理されます。

  • 代表的な樹種:スギ、ヒノキ、カラマツなど

  • 苗木の高さ:約20〜30cmで植林適齢

苗木1本にかかるコストは数百円程度。だがこの「初期投資」が、50年後の材価に大きく影響する。


【2】植林(2〜3年目)

伐採後の山や新たに整備された山に、苗木を一定の間隔で手作業で植える作業。1ヘクタールあたり1,000〜3,000本が植えられます。

  • 植林時期:春または秋(気温・雨量に左右されにくい)

  • 重要性:地表を覆い、保水・土砂流出防止にも貢献


✂️【3】下刈り(3〜10年目)

苗木の成長を妨げる雑草や低木を刈り取る作業。機械が入れない急斜面での手作業が中心で、最も過酷な工程とも言われています。

  • 年に1〜2回必要

  • 手入れしないと苗木が光を奪われて枯れる


【4】間伐(15〜40年目)

木々が育ち、林内が密集してくると光や養分の奪い合いが起こります。そのため、成長の良い木を残して他を間引く「間伐」を行います。

  • 第一次間伐:15〜20年目

  • 第二次間伐:30〜40年目(約半数を伐採)

間伐は森林の健全な成長に不可欠であり、間伐材の有効活用(バイオマス発電・木質チップ)が注目されています。


【5】主伐(50〜80年目)

最終的に、木材として活用するために伐採される段階です。日本の人工林は戦後に植えられた木が多く、今まさに伐採適齢期を迎えています。

  • スギ:50〜60年で柱材に

  • ヒノキ:60〜80年で構造材や造作材に

主伐後は、再び植林を行い、森林の循環をつなげることが林業の基本です。


◆ 年数の目安(代表的な木)

樹種 主伐までの年数 特徴
スギ 約50〜60年 柔らかく軽量、建材・柱材向き
ヒノキ 約60〜80年 耐久性・香りに優れ、人気材
カラマツ 約40〜50年 高地向き、土木材にも利用
コナラ 約30〜40年 薪炭材、広葉樹林再生に使用

◆ 森を育てるということは、時間を受け継ぐということ

林業は、1年や2年で成果が出るものではありません。今植えた木が使われるのは、自分の孫の世代かもしれない。

そのため、林業は「100年の計を実行する仕事」と呼ばれています。

目先の利益ではなく、未来の環境・経済・文化を見据える――それが林業です。


◆ これからの林業に求められる視点

◉ SDGs・脱炭素社会との連動

  • 森林によるCO₂吸収の価値が再評価

  • 持続可能な木材利用(FSC認証など)が国際的な流れに

◉ テクノロジーの導入

  • ドローンによる植林・伐採計画の最適化

  • AIによる成長予測や劣化診断

  • リモートセンシングで森林管理の省力化

◉ 人材と継承の課題

  • 若手林業者の確保が急務

  • 地域住民と連携した「森林の見える化」による理解促進


◆ おわりに──森をつくるのは「手」と「時間」

一本の木が立派に育つには、何十年もの時間と、何千回もの人の手が必要です。伐って終わりではなく、伐ってからが始まり。林業とは、自然と人間が共同でつくる、長い物語です。

「木を植える」という行為は、「未来に贈り物をすること」
それは、今の私たちにこそ求められている選択かもしれません。

 

 

 

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