オフィシャルブログ

大住緑栄のよもやま話~第11回~

皆さんこんにちは!

 

株式会社大住緑栄、更新担当の中西です。

 

 

 

林業の歴史

~人と森の共生の歩み~

今回は「林業の歴史」にスポットを当て、私たち人間と森林との関わりがどのように発展してきたのか、時代を追ってご紹介します。

木材は、建築、道具、燃料、紙など、私たちの生活に欠かせない存在。
でもその裏には、木を育て、守り、伐って、また植える…そんな“林業の営み”がありました。
さあ、一緒に時空を越えて「森の仕事」の歴史をたどってみましょう!


■ 古代:自然林との共存と信仰

 

日本における林業の原点は、縄文時代にまでさかのぼります。
当時はまだ“林業”という概念はありませんでしたが、人々は自然林から木を伐り、家の柱や狩猟具、火を起こす薪などに活用していました。森は“生活の場”であり、同時に“神聖な場所”でもありました。

特に、神社の御神木や鎮守の森など、信仰と森が密接につながっていたのが日本の特徴です。単なる資源ではなく、共に生きる存在としての森。これが、日本の林業の根底に流れる思想といえるでしょう。


■ 中世~江戸時代:計画的な森林利用のはじまり

 

鎌倉~室町時代になると、人口が増加し、建築需要も増える中で、森林の乱伐が進行しました。これにより、一部の地域では山が禿げる「はげ山現象」も起こり、治水や農業にも悪影響を与えるようになります。

そこで、江戸時代になると幕府や藩が計画的な林業政策を打ち出します。

  • 伐ったら植える「循環型林業」

  • 山ごとに木を育てる「留山制度」

  • 村単位での植林と管理の義務化

特に徳川幕府の「御用林制度」では、良質な木材(特にヒノキ)を供給するための専用林が整備され、林業は国の重要な基盤産業となっていきました。


■ 近代:産業としての林業の確立

 

明治時代以降、日本は西洋式の近代国家を目指していく中で、林業も国家主導の産業へと進化していきます。

  • 明治政府による「官林・民林」の区分け

  • 全国でのスギ・ヒノキ植林政策(明治後半〜昭和初期)

  • 軍需産業に向けた山林資源の開発

昭和に入ると、戦争と戦後復興で木材需要が爆発的に増え、伐採と再造林が繰り返されるようになります。
特に1960年代からは、スギ・ヒノキの人工林が全国で一斉に拡大し、戦後林業の大転換期を迎えました。


■ 現代:課題と向き合い、森と再び手を結ぶ時代へ

 

1990年代以降、建築材の輸入自由化や住宅様式の変化などにより、国産材の需要は急激に減少。それと同時に、林業従事者の高齢化、後継者不足、放置林の増加といったさまざまな問題が顕在化しました。

しかし近年では、

  • 地産地消の木材活用

  • バイオマスエネルギーとしての木材利用

  • SDGsやカーボンニュートラルへの貢献

といった形で、林業が再び脚光を浴び始めています。
森林環境税の導入や、森林認証制度(FSC認証)も広がり、「育てて使い、また育てる」持続可能な林業が、改めて注目される時代へと進んでいます。


■ まとめ:森と共に生きるという選択

 

林業の歴史は、単に“木を伐る仕事”の変遷ではありません。
それは私たち人間が、自然とどう向き合い、どう共に生きていくかという問いかけの歴史でもあります。

自然を壊すのではなく、活かし、支え合う。
現代の林業は、これまでの知恵と反省を活かし、より健やかな森を未来に残していくための挑戦なのです。


次回は、「林業の鉄則(安全・品質・持続のための基本原則)」を詳しく解説します。プロの現場では何が大切にされているのか?

次回もお楽しみに!

 

 

apple-touch-icon.png