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月別アーカイブ: 2025年5月

大住緑栄のよもやま話~第12回~

皆さんこんにちは!

 

株式会社大住緑栄、更新担当の中西です。

 

 

 

林業の鉄則

~森を守り、未来へつなぐために~


前回の「林業の歴史」に続いて、今回は**「林業の鉄則」**についてじっくりご紹介していきます。
林業は自然を相手にする仕事。だからこそ、安全・計画・継続性の3つの柱が非常に重要とされています。

それでは、林業の現場でプロたちが守り抜いている鉄則を見ていきましょう!


■ 鉄則①:安全第一 ― 命を守るための最優先事項

 

林業は、建設業や漁業と並んで最も危険な産業のひとつとされています。
チェーンソー、高所作業、伐採時の倒木、滑落事故など、少しの油断が命に関わるケースもあります。

そのため、現場では以下のような徹底した安全対策が取られています。

  • ヘルメット・防護服・安全靴の着用

  • 作業開始前のKY(危険予知)ミーティング

  • 伐倒方向の確認と退避経路の確保

  • 無線やホイッスルでの連携体制

林業において「慣れ」は最大の敵。毎回の作業においても“基本に忠実に、安全を最優先に”が鉄則です。


■ 鉄則②:計画伐採 ― 森を壊さず、育てる

 

木をただ切ればいい、というわけではありません。
林業の本質は「持続可能な伐採」にあります。

  • 何年生の木をいつ伐るか(主伐)

  • 間引き伐採(間伐)で森林の健全な成長を促す

  • 伐ったらすぐに新たな苗木を植える(再造林)

これらを全て長期スパンで計画するのが、施業計画というもの。10年、20年、50年先を見据えて山を管理していく。それが“林業の設計図”なのです。


■ 鉄則③:山と人のバランスを考える

 

林業は「自然との対話」。
木を切る量が多すぎても、放置しすぎてもいけません。

  • 間伐不足の山は、日が入らず、木がやせ細る

  • 伐採しすぎると、土砂崩れや水害のリスクが上がる

  • 動植物の生態系や水源保全も考慮が必要

だからこそ、**地域の地形・気候・生態系に合った“山の手入れ”**が必要不可欠。一本一本の木と向き合いながら、山全体の健康を見守るのが林業のプロの仕事です。


■ 鉄則④:木材の品質管理と流通も含めて“林業”

 

現代の林業では、伐った後の工程(選別・運搬・製材・販売)までを一体的に管理することが求められています。

  • 節の少ない高品質な材を選別

  • 乾燥・防虫処理などの工程管理

  • 地元ブランド材(例:吉野杉、秋田スギ)の価値を維持

つまり、林業は“木を伐るだけの仕事”ではなく、「育て、見極め、届ける」一貫したプロセスが必要なんです。


■ 鉄則⑤:次世代へのバトンを渡すこと

 

林業は、1年や2年で完結する仕事ではありません。
植えた苗木が育ち、立派な材として出荷できるまでに40年〜60年かかることも珍しくありません。

つまり、今の林業は、次の世代のために未来の森を設計する仕事なのです。

  • 若手育成と技術の継承

  • ICTやドローンなど新技術の活用

  • 地域との連携・山の価値の“見える化”

こうした新しい取り組みと古くからの知恵を融合させることで、林業はさらに魅力的で誇れる産業へと進化していきます。


■ まとめ:森に敬意を、仕事に誇りを

 

林業には「自然を壊す」のではなく、「自然と共に生きる」思想が息づいています。
そのために、安全・計画・環境・品質・継承の5つの鉄則が、今も昔も変わらず大切にされてきました。

木を伐る手には、未来への責任が宿っています。
私たちが今できることは、森に敬意を払いながら、その恵みを活かし、次の世代へしっかりとバトンを渡すことです。

次回もお楽しみに!

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大住緑栄のよもやま話~第11回~

皆さんこんにちは!

 

株式会社大住緑栄、更新担当の中西です。

 

 

 

林業の歴史

~人と森の共生の歩み~

今回は「林業の歴史」にスポットを当て、私たち人間と森林との関わりがどのように発展してきたのか、時代を追ってご紹介します。

木材は、建築、道具、燃料、紙など、私たちの生活に欠かせない存在。
でもその裏には、木を育て、守り、伐って、また植える…そんな“林業の営み”がありました。
さあ、一緒に時空を越えて「森の仕事」の歴史をたどってみましょう!


■ 古代:自然林との共存と信仰

 

日本における林業の原点は、縄文時代にまでさかのぼります。
当時はまだ“林業”という概念はありませんでしたが、人々は自然林から木を伐り、家の柱や狩猟具、火を起こす薪などに活用していました。森は“生活の場”であり、同時に“神聖な場所”でもありました。

特に、神社の御神木や鎮守の森など、信仰と森が密接につながっていたのが日本の特徴です。単なる資源ではなく、共に生きる存在としての森。これが、日本の林業の根底に流れる思想といえるでしょう。


■ 中世~江戸時代:計画的な森林利用のはじまり

 

鎌倉~室町時代になると、人口が増加し、建築需要も増える中で、森林の乱伐が進行しました。これにより、一部の地域では山が禿げる「はげ山現象」も起こり、治水や農業にも悪影響を与えるようになります。

そこで、江戸時代になると幕府や藩が計画的な林業政策を打ち出します。

  • 伐ったら植える「循環型林業」

  • 山ごとに木を育てる「留山制度」

  • 村単位での植林と管理の義務化

特に徳川幕府の「御用林制度」では、良質な木材(特にヒノキ)を供給するための専用林が整備され、林業は国の重要な基盤産業となっていきました。


■ 近代:産業としての林業の確立

 

明治時代以降、日本は西洋式の近代国家を目指していく中で、林業も国家主導の産業へと進化していきます。

  • 明治政府による「官林・民林」の区分け

  • 全国でのスギ・ヒノキ植林政策(明治後半〜昭和初期)

  • 軍需産業に向けた山林資源の開発

昭和に入ると、戦争と戦後復興で木材需要が爆発的に増え、伐採と再造林が繰り返されるようになります。
特に1960年代からは、スギ・ヒノキの人工林が全国で一斉に拡大し、戦後林業の大転換期を迎えました。


■ 現代:課題と向き合い、森と再び手を結ぶ時代へ

 

1990年代以降、建築材の輸入自由化や住宅様式の変化などにより、国産材の需要は急激に減少。それと同時に、林業従事者の高齢化、後継者不足、放置林の増加といったさまざまな問題が顕在化しました。

しかし近年では、

  • 地産地消の木材活用

  • バイオマスエネルギーとしての木材利用

  • SDGsやカーボンニュートラルへの貢献

といった形で、林業が再び脚光を浴び始めています。
森林環境税の導入や、森林認証制度(FSC認証)も広がり、「育てて使い、また育てる」持続可能な林業が、改めて注目される時代へと進んでいます。


■ まとめ:森と共に生きるという選択

 

林業の歴史は、単に“木を伐る仕事”の変遷ではありません。
それは私たち人間が、自然とどう向き合い、どう共に生きていくかという問いかけの歴史でもあります。

自然を壊すのではなく、活かし、支え合う。
現代の林業は、これまでの知恵と反省を活かし、より健やかな森を未来に残していくための挑戦なのです。


次回は、「林業の鉄則(安全・品質・持続のための基本原則)」を詳しく解説します。プロの現場では何が大切にされているのか?

次回もお楽しみに!

 

 

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